過敏性腸症候群


過敏性腸症候群
長年、慢性下痢の理由が、最近ようやくわかりました。
どうやら自分は、この過敏性腸症候群というやつっぽいです。
言い方を変えれば「自律神経失調症」の仲間らしいっす。


今までどんなお医者さんにいっても、普通に診察されるだけで、原因わからず、解決法もありませんでした。
そのうち「これってひょっとして神経性じゃね?」と思うようになり、事実、そうでわかったときの「してやったり感」!
まあ、だからといってなにか解決するわけじゃないんですけど、物理的な要因ではないという事実は対策法が変わります。
最近は過敏性腸症候群の小冊子なんかが、病院に置かれたりしてこの症状に触れることができます。
かくいう自分もこれを見て「うん、これだよね」と確信し、今のお医者さんに診てもらっていたりします。
もっとも、もらっている薬がさほどの効果をもたらしているような気がしませんけど。


なんとこの病状には4つのタイプがあるらしく、自分は「下痢型」というやつです。
ほか「便秘型」に「ガス型」、下痢と便秘が交互にくるハイブリッドな「交替型」まであります。
個人的には便秘型がよかったなぁ……と思わなくはないですが、アレはアレで腹痛がただごとではないかと思われます。
ガス型は「周囲の人間を常動型で猛毒状態」にするでしょうし、交替型は「読みを見違えれば大惨事」であることを考えると、痛みをともなうことの少ない下痢型が一番マシなのかもしれませんなぁ。


ということで、今回は「人生の半分くらい損をしている」過敏性腸症候群について、紹介していきましょう。


▼どんな症状?
とにかくストレスがかかると、すぐに症状が出る。
たとえば、トイレのない場所にそれなりの時間いるとき。
たとえば、しばらくトイレに行けない状況になったとき。
自分で例えるなら「イベントで前に立ってしゃべる直前」が調子よろしくないです。始まってしまえば「そっちに集中」しちゃうので、気にはならないんですけどね。
症候群になる原因は色々あると思いますが、おそらく幼少期などに「うんこにまつわる恐ろしい体験」をしてきた人が多いのではないでしょうか。
これらの体験が「あの地獄をふたたび味わいたくない」という恐怖心を巻き起こし、一種のトラウマのようになっているのだと思います。
ちなみに自分の場合は「小学校4年生の時に、死にたくなるような体験(しかし数時間をバレずに乗り切った)」をしたことが原因かと。
体育のマラソン中、いつもどおりオナラのつもりのガス放出が、まさかあのようなことになろうとは……(ガクガク)。
いわゆる「緊張しすぎて胃が痛くなる」とか「乗り物酔い」に近いものかもしれません。


▼どうしたらいい?
ここまでの内容を読んで「オラもそうかも」と思われた方。
今後の人生でさらなる大惨事にいたらぬために、ちょっとしたアドバイスを贈らせていただきましょう。


1:行動範囲のトイレを把握する
基本はこれに限ります。
サーチ範囲内にスポットがあれば、それだけで「いつでも駆け込める」安心感になり、スムーズに物事を行うことができます。
通勤などでは「駅ごとのトイレの位置」を知っておくことが必要です。
もっとも調べるまでもなく、知らず知らずのうちに(使用頻度から)自然と把握することになりますが。
覚えておいて欲しいことがひとつだけあります。それは――


すぐ降りての激戦区トイレより、次の駅の安全圏トイレ


――のほうが結果として近いこともある、ということです。
とくに大きな駅のトイレはそれだけ利用者が多く、同志たちによって血で糞を洗う個室の奪い合いになることも多々あります。
トイレで次が空くまで待つ――という行動は、もっとも燃費の悪い状態であると言えますので、常に作戦を練っておきましょう。


2:常に時間は余裕をみておく
スーパートイレタイム1回につき約20分のロスです。
待ち合わせ時間ギリギリにあわせて動くことは非常に危険です。
自分は常に「2トイレタイム」までは考慮に入れて行動するんですが、それでも3タイム以上になって遅刻することがあります。
今でこそ携帯電話があって「遅れそう」と連絡できますが、電話がないときは大変でした。


3:できるだけ行動しやすく
新幹線や映画館などでも「できるだけ通路側」に座りましょう。
いつでも誰に迷惑もかけずにトイレにいけるというのは、それだけで心休まります。
逆に奥に入ってしまって「何度もトイレに出る可能性」を考慮してしまうと、隣の人への迷惑がストレスとなり、それだけでドツボにハマりやすいです。
自分の最近の体験では、「エヴァンゲリオン:破」の映画を見に行ったとき、ラスト10分くらいで我慢の限界が来てしまい、皆が綾波に感動する前を「すいません、通してください」と平謝りしながらトイレに駆け込んだ覚えがあります。
これが最初から端っこに座っていれば「いつでもいけるもんね」という心の余裕が、こういう状況を作らなかったかもしれません。


4:座る
立っている状態は我々にとって危険な状態です。
ただ「座る」というアクションをとるだけで、低レベルの便意さんであれば見逃してもらえることもあります。
これは今後の人生を送る上で、シンプルかつ非常に有効な手段です。


5:カミングアウトしておく
会社での旅行、友達と買い物、どちらにしてもソロプレイではなく、パーティプレイの場合、自分のトイレタイムが他人への迷惑になることがあります。
少人数の友達との行動であれば被害はたいしたことはありませんが、社員旅行のような大人数パーティでは迷惑のケタがかわってきます。
そこで、周囲の人間には「オラ、おなか弱いんだ! うんこによく行くけど許してつかあさい」とカミングアウトしておくことが重要です。
中学生、高校生時代であれば「うんこまん」と呼ばれる可能性が高くなり、それがイジメに繋がる要因になりかねないので簡単なことではありませんが、大人であれば大丈夫。みんな多少のレベルであれば「しょうがないなー」で許してくれるでしょう。
自分の場合、社員旅行などは「可能であればマイカー」で行くことにしています。これであれば、自分だけ遅れても迷惑はかけません。
気がつくと、団体行動が嫌いなカラダになってしまう悲しい状況ですが。
また、自分はまだ経験はありませんが、もしも最悪の厄災を招いてしまったとき、カミングアウトしていれば「病気なんだから仕方ないよね」と同情票を集めやすいと思われます。


6:物理的防護をほどこす
特に有効アイテムが「腹巻き」です。真夏であろうが気にしてはいけません。
この物理的防御がある状態は、小さいですが心の余裕を生みます。
ウェイブ次第では「腹巻きのあたり具合を調整する」だけで回避することも可能です。
ほかの対策と併用すれば効果はおのずと高まります。


7:自己暗示を覚える
これは長時間の「トイレに行けない時間」を乗り切るときに有効です。
人間、眠っているときはうんこしたくないですよね? それを利用すればいいのです。
目をつぶり、心清らかに「眠くなる眠くなる」とマインドつぶやき。
自分のハート内を「つぶやきで満たす」ことで、「ほかのことを一切考えない」のです。
電車の中などの時間が解決する場合では、外界の情報をシャットアウトすることにより「へっへーん、現在位置を確認していないから、もうすぐ到着するかもしれないもんねー」という「真偽のわからない状態」が心の余裕がつながります。
最悪なのは「次の駅まで景色を見ながら、まだかまだかと焦ること」です。
これは1秒が10秒以上に感じてしまう上、なれた景色ですと実際にかかる時間がわかってしまうので「間に合わぬ! かくなる上は一世一代の晴れ姿をお見せいたそう!」と心の介錯に繋がりかねません。やめておきましょう。
ちなみにこれらはビッグウェイブには通用しません。
リトルウェイブには効果覿面ですが、ミドルウェイブに勝つためには鍛錬が必要です。


▼なのでわかってあげて
過敏性腸症候群にとってトイレのない空間は、ただの拷問であることを。
普通の人にとってはなんのことない距離を歩くことでも、我々にとっては灼熱の鉄の上を歩くようなものであることを。
優先座席でも座りたい。座ることでストレスがやや解消される=走行距離が稼げるのです。
ドラゴンボールがあったら、きっと「この慢性下痢をなおしてくれー!」と頼んだかもしれないほどに、この症候群はつらいものなのです。


そう、人生が楽しめない!


過敏性症候群の人間は、年々増えているらしいので、あなたの身近にもきっといます。
うんこまんとか「団体行動のできないヤツだなー」とか思わずに、我々にちょっとだけの理解をお願いします。
そうすれば、安心できる人間関係から「こいつといたらトイレタイムが減る」という状況を作り出せるかもしれません。


あなたとトイレを考える。


子供手当よりも、便所の数を増やしてほしい。
加藤ヒロノリは、過敏性腸症候群の皆様とともに戦っていくことをここに誓います。